生命(いのち)の森のある島へ

屋久島
1999年5月15日(土)〜19日(水)

last up date/2006.05.20


出発前

 前々から行きたかった屋久島!!
 いつ頃から行きたかったのかはもう覚えてないけど、とにかくもうずっと気になる場所だった。目的はやっぱり、樹齢7000年とも言われる縄文杉だ。一目お目にかかりたい。その為なら終日登山だって全然オッケ−!
 いつ、どうやって行こうかとは常々思っていたのだけれど、ある日会社の中に入っている旅行会社に置いてあるパンフレットを見つけた。
 鹿児島経由の飛行機往復、現地のレンタカー、3泊4日の宿泊、縄文杉までの登山ガイド付き、というとってもナイスなツアーを発見。メンバーは小田蘭、みーちゃん、みーちゃん妹。運転はみーちゃん妹が担当してくれるということになり、さっそく日程を合わせて申し込みだ!!



1999年5月15日(土)

 浜松町モノレールの改札付近で待ち合わせをして、飛行機で鹿児島経由で屋久島まで向かう。鹿児島で乗り継いだ屋久島行きの飛行機は60人乗りの小型飛行機だ。翼にはプロペラがついていて、機内は満席。絵葉書やアメを貰い、2〜3年前(1999年当時で2〜3年前のものね)の「るるぶ」屋久島&種子島を貸してもらいつつ約40分の飛行。この飛行機は雲の上まで出ずに飛びつづけるのだ。眼下には海、そして時々見える島影を眺めているうちに、あっというまに屋久島へ到着した。 屋久島空港はとて小さい。ま、なんたって定期便は鹿児島からのJAC(ジャパン・エア・コミューター)が日に5便あるだけだ。
預けた荷物を受け取って、出迎えてくれたレンタカー会社の人からカローラのキーを受け取る。空港の駐車場のレンタカー置場にある車に荷物を詰め込んで、さぁどうしよう。
 うん、まずはホテルに行く前に島内1周してみよう。旅行会社から貰った地図を広げて道を確認。とは言っても屋久島は周囲132q、島内をぐるりと回る大きな道路さえ押さえておけば迷う心配もない。各種施設や主要景観には道路案内があるからそれに沿って行けばまず間違いなく辿り着ける。
 空港を出て県道を南(左)へ進み、安房川を通り過ぎるとすぐに「屋久杉自然館」「屋久島世界遺産センター」「屋久島環境文化研究センター」の文字が道路案内板に見えた。よし、ではまずそこから行ってみよう。交差点の信号機は黄色だけが点滅している。・・・・・・確かここは県道だよね? そこまで車通りが少ないのだろうか。
 靴を脱いで本館で600円の入館料を払い、「屋久杉自然館」へ入る。今日は土曜日のはずなのに、ほとんど人がいなくて静かでいい雰囲気だ。入口には入館者がどこから来たかを地域別に分類してる箱があって、そこへ木で出来たブロックを入れるようになっていた。私達は県外。他には鹿児島県内、九州地方、屋久島在住、という箱があったけど、屋久島在住の箱には一つも入ってなかった。在住者はそうしょっちゅう来ないよね、こういうトコには。
館内を回ってると職員が
「館内記録として見学してるところを写真に撮らせてください」とカメラ片手に現れた。この写真は資料室に仕舞われるんだろうか。とりあえず、3人で展示物を見ている所を撮られながら、自分たちでも縄文杉の実物大の写真の前で記念撮影。今はもう実物には近寄れないし触れないからね〜。人が木の周りを踏み敷いて地面が固まってしまうし、樹の幹に名前を彫ったり木津つけたりする心無い人もいるだろうし。そういうことを考えると、こうやって呑気に観光に来ている自分も山の自然を壊してるのかも・・・、と言いようのない気持ちになる。
 続いてて「屋久島世界遺産センター」へ。こっちも先客が1人いるだけ。こんなに人いなくていいんだろうか。でも自分達だけでゆっくり見て回れるからその方が有り難いけどね。ここには屋久島の白地図があって、訪れた人が情報を書きこんでいけるホワイトボードがある。見てると面白いよ、「○/○、蛇ひいた」とか「×/×、のら孔雀発見」(のら孔雀って!)とか、「車を止めるとサルが餌を欲しがりに寄ってくるから要注意」とか。これから島を回る人にはいい情報源になるんじゃないかな。
 「屋久島環境文化研修センター」は研修施設っぽかったので入らずに県道へ戻る。
 ゆっくりしてたらもう16時だ。まだ空港からスタートして島を半周もしてないよ。とりあえず今日は島を1周するだけして、3日目のフリー日程で島内観光するための参考にしよう。ということで、県道をさらに南へ。町がところどころにあるけど対向車も前後にも殆ど車を見かけないんだけど・・・。小田蘭が助手席で地図を見ながら、
「この辺が麦生ね、そしたらも少し行ったら植物リサーチパークが右手にあるよ」とか「次に橋があったらそれ鯛之川だ。そうすると、ちょっと上流行ったら千尋滝があるみたい」とか確認しつつ進む。尾之間を過ぎ、海中温泉のある平内を過ぎて、フルーツガーデンも観光日にとっておいて中間も通りすぎる。「大川の滝」のある大川を過ぎて西部林道に入る前にすごく景色のよい場所発見! 道の端に車を止めて降りてみよう。一応県道なのに、前からも後ろからも1台も車が通らない! 道路に大の字になって寝れるよ、これは。ガードレールまで行くと目の前は海! 背中にはすぐ山! 海も空も南の島独特の綺麗な青! 気持ちいい〜〜!!
 ここからしばらく進むとすぐに西部林道になるんだけど、この林道がすごかった! うねうねと曲がりくねった上り坂。車線は一つ。曲がり角にミラーは立っているんだけど、映る道はすぐ曲がってしまってその先が見えない。これじゃあミラーの意味なくないですか? 対抗車が来てもこれじゃあどうにもならないよ。すれ違える広さの道に出るまでこんな曲がりくねった道ではバックなんて出来ないよ〜。車が来ないことを祈る! と言いながら進む。時速は10q前後のノロノロ運転。木が生い茂って昼なお薄暗い道。ひえ〜。シカもサルも見た。どうりでこの辺りはバスが走ってないはずだ。これって、「一応島を1周する道路を作りましたよ」ってカタチだけだよね。はぁ。やっとなんとか山道を抜ける頃になってついに対向車がっ!? よかったー、すれ違えるところで。
 そういえばね。この山道も終わり、下り坂になったところでリュックを背負った一人の兄ちゃんが道を登って歩いてくきたのよ。ちょっと、この兄ちゃんってばこれから西部林道に向かうの? しかも徒歩で?! 楽しんでる風でもあるけど、それって一種のランナーズハイ状態なんでは…。山ん中で一泊するつもりなのだろうか。そうとしか思えないけど…。と、たったいま西部林道抜けてきた私らは、ちょっと不安になるのだった。だって、サルに襲われたりしそうだよ? 鹿もいたし。
 そんなこんなでやっと西部林道を抜けた頃にはもう17時を過ぎていた。まだ宿泊予定のホテルがある宮之浦までは1/3ほども道のりがあるんですけど・・・。とか言いつつ、ここから更に屋久島灯台へ寄ってからホテルに到着した私達なのでありました。
 チェックインして明日のガイドと合流の仕方をフロントで聞くと(現地で確認とか書いてあった)、フロントの人がガイドのクーポンに書いてあった電話番号に連絡してくれた。なんと明日私らのガイドをしてくれる人がまだ戻ってないとか。後で電話がくるから、そこで直接ガイドと話をして待ち合わせの時間とか場所を決めるんだって。で、そのガイドさん、今日は70人近いツアーを案内してて帰りが遅くなるんだとか。70人の団体ってすごすぎる・・・。
 部屋に荷物を置いて一息ついて、さっそくご飯を食べに行こうと部屋を出ようとした時に電話がかかった。明日のガイドのN山さんだ。明日も登山の予定が多いらしく、5:00頃ホテルを出るということに。ガイドとの合流は今日行った「屋久杉自然館」の駐車場。朝5時にホテルを出れば5:20頃に付くだろうから、ということでした。念のため、と携帯電話の番号も教えてもらう。電話の口調だけだけど、なかなか感じのいい人だ。



1999年5月16日(日)

 4時、目覚ましで起床。まだまだ外は暗い。
 4時50分、レンタカーでホテルを出発。「キラリ」というコンビニ兼お弁当屋さんみたいな所で朝食を3つ、昼食を4つ受取る。昼食はこれから合流するガイドさんの分も入っているのだ。
 5時25分、「屋久杉自然館」の駐車場でガイドのN山さんと合流。N山さんに運転を変わってもらい、屋久島では一番メジャーなコースだという登山口を目指す。
 6時、荒川口到着。
 6時30分、ごはんを食べて、トイレを済ませて(ちゃんとしたトイレはここにしかないのだ)、いざ出発!

 まずはトロッコの線路を辿って進む。いきなり橋だよ! 手すりも何もない、線路の幅しかなくて、その間に線路に沿って2本の板を渡してあるだけの橋を歩いて渡る。これは高所恐怖症の人はダメでしょう。結構そろそろした歩みになっちゃうよ。
 このトロッコ線路はトロッコ道と呼ばれ、小杉谷への橋(また橋か!)までの一部分が現在でも使われているのだ。時々営林署が仕事でトロッコを走らせているみたいで、歩いている時に前とか後ろとかからトロッコがガーッと走ってくることがあるんだって。後ろからって・・・。でも「ゴォーッ」って音が聞こえてくるからちゃんと分かるらしい(笑)。
 それにしても、トロッコ道は起伏がなくてひたすら歩くだけだから周りの景色を余裕を持って見渡せるとはいうものの、ボーッと歩いていると眠くなるよ・・・。ガイドのN山さんも同じようなこと言ってた。確かに4人とも行きも帰りもトロッコ道を歩いてる時は無口だったね。山道ではけっこういろんな話しをしてたのに、身体的には楽なはずのトコッロ道で無口って、なんだかなー。でもね、意外と歩きにくいんだよ、これ。枕木が邪魔なの。歩ける幅が線路の幅しかないから、どうしても枕木を踏んで歩くことになるんだけどね。その間隔が不規則だったりぐらついてたりして・・・。
 出発してから約1時間後、何個目かの橋を渡って小杉谷へ。橋を渡り終えた所でトロッコの走る「ゴォー」っという音が! 樹々の切れ間になんとか写真に収めることが出来たわ。追いかけられなくて良かった(笑)。
 ここでちょっと休憩。昭和の中頃には木を切り出す為に働く人が多く、ここに一つの町があったのだ。今では建物なんか何も残ってないし、この付近には住んでる人もいないんだけど、ついこの間郵便番号が7桁になるまでは小杉谷でちゃんと郵便番号があったんだって。
 さぁ、15分程休憩したらどんどん進もう。まだトロッコ道は続くのだ。ここから先のトロッコ道はもう使われてないから、枕木の所に橋みたいに板が1〜2本渡してあって歩きやすい。そうなってると歩きやすいんだけどねー、ますます眠くなったりして(笑)。暫く行くと「楠川分かれ」。これを右の脇道に入っていくと、白谷雲水峡へ行けるとか。
「絶景ですよ」とN山氏オススメ。後で写真を見ると確かに。今度来た〜い! 苔むした岩や倒れた木の間を水が流れてたりもして、ああ、森って素晴らしい。うっとり♪
 途中何度か休憩を入れて出発から3時間、やっと約8kmのトロッコ道も終わり。沢の水が気持ちよさそう。帰りはまたここで沢遊びだ〜♪とわくわくしながらズボンの裾をめくって沢に入りながら休憩タイム。他にも沢山の人がここで休憩してる。いよいよここから先が山道本番だからね!
 でも今日はわりと登山客少ない方なんだって。一番すごかったGWのときなんて700人もの人がこの道を歩いていて、縄文杉の見晴台なんてひしめきあっちゃって大変だったというハナシ。だいたいその見晴台でお弁当を食べるんだけど、ゆっくりしている時間なんてなくて、食べたら「はい、次の人に場所譲って」みたいな感じだったとか・・・。昨日は昨日でN山さん達3グループで70人の団体を率いて登っていたというからもう・・・。N山さんは1人で28人のグループを受け持って、他に10数人と30数人のグループが一緒に登る登山っていったい。小学校の遠足かいっ! 説明するだけでも3つに分けて同じことを3回話していたとか。そんな大人数じゃガイドさんだって全員に目が行き届かないよ。旅行会社の経費節減なんだろうけど、って言っていたけどたまんないね。しかも添乗員も登山初心者ときた日にゃ・・・。
 ま、そんなことを話しながら階段を上って山に分け入っていくぞ! 周りの木や岩を掴んで登っていく所もあるって言うし、危ないからカメラはリュックにしまおう。んで、ポイント毎に取り出して撮る、と。
 まずは翁杉。そしてウィルソンさんが山の調査に入った時に雨宿りをして発見したというウィルソン株。最初は洞窟だと思ったという話があるそうだ。でも、そう思うかー? 株の中は空洞で、天井もくりぬかれていて中に入って上を見上げると、なんか、周りの自然に敬意を表したくなるような神聖な気持ちになる。自然の中に包まれている気持ちになる。中には祠があって、伏流水がちょろちょろ流れている。苔むした切り株。切り株からまた新たな木が育っている。
 ウィルソン株から先は少しキツイ階段が続く。ここがこのルートで一番ツライところなんだって。
「昨日もそう言って励まして団体案内してたら、後で「うそつき」とか言われましたけどね(笑)」とN山さん。でも確かにその階段はキツかった。一段一段が高いんだもん。
 名前なんか付いてなくても一つ一つが屋久島の山や森を構成する一部なんだ。
 途中にある水場では沢の水がそのまま飲める。ペットボトル持ってなくても大丈夫かも。
 大王杉、夫婦杉。木の上が根っこみたいになっている木、名もない木。
「勝手に名前付けて「これあたしの木」ってもOK。周りには認められないけどね」とN山氏。でも、たとえ名前付けたとしても今度来た時自分で分かるかっていうと…、無理だろうなー。夫婦杉の小さい木の方の脇にある木は愛人杉とか2号杉とか、N山さん〜? 
 ヒメシャラの木はオレンジっぽい茶色で触るとひんやり冷たくて気持ちいい。でもこの色は生きてるからこその色なんだって。倒れたり切ったりするとどんどん色がくすんできて、皮が剥がれてしまうという。生命って、素晴らしい。
 何度か休憩して沢で水飲んだりしながら、ちょうど12時頃にやっと縄文杉到着。歩き始めて6時間かー。
 見晴台へ続く階段が辛かった! 下からじゃ縄文杉は全然見えなくてね。ここ、階段じゃなくて山道の方が楽だと思うのは私達だけ?
 そうそう。現在、縄文杉の近くに寄ることはできないのです。縄文杉の前に見晴台のようなものができていて、そこからしか見ることができない。えーっ、木の幹に触ってみたかったのにな。でも、N山さんが言うように、沢山の観光客がやってきて近づくと根元の土が踏み固められて樹の成長に支障が出るって話は納得だからしかたないね。
 ここで持ってきたお弁当を広げて、N山さんが途中で汲んできた沢の水を沸かしてコーヒーを作ってくれて、お昼ゴハンとなりました。食べたらトイレを済ませて(って言ってもトイレ施設なんてないので、暫く先の方で隠れてするしかないんだけど・・・)、縄文杉前滞在時間は約1時間でさぁさぁ下山! 帰りも行きと同じだけ時間がかかる訳だから、あんまりゆっくりしていられないんだよ。
 あぁ・・・。さようなら、縄文杉。また80になったら! って(笑)。このフレーズ気に入ったよ。登山中にN山さんから80才のおばあさんがこのコース登ったことがあるって話を聞いて、
「じゃあ私たちも80になったらまた来よう」「ちょっとー、小田ちゃん80の時って私何歳だと思ってんのよ」「えー? 大丈夫大丈夫。そん時もガイドはN山さんご指名で」「90でガイドか、辿り着いたらポックリいっちゃったりして」「老人パーティだね」「お互い会っても分かんなかったりしてね」「はぁ? わしの若い頃は1ヶ月に35日山に登ったもんじゃて。おじいちゃんそれは雨の話でしょ、とか言われるんか」「あはははー、ボケてるボケてる」
 そんな会話をしながらサクサク下山(笑)。行きに小杉谷付近から同じようなペースで登ってきたグループ(お兄ちゃんガイド+3姉妹と母親+50代くらいの男性)とは帰りも抜きつ抜かれつで、行きは私等のが先に歩いてて、休憩の時にむこうが追いついて、って感じで進んでいたのが、下山時は私たちが追いかける方に回っておりました。
 山道に入る前の大株歩道入口まで到着したら、荷物を置いて橋の横から沢に降りて、岩の上で靴脱いで裸足になって水に足をつける。つめた〜い! 気持ちいい! 裸足になるだけでも足が解放されてホッとするのに、この水が生き返る♪ でも冷たくって長いこと足つけてらんないの。30秒くらいでもうダメ。沢の水飲んだり顔洗ったり、ペットボトルに水詰めて持ちかえるのだ。ふふふ、冷たくって気持ちいいー! 
 沢遊びで体力回復した後は、また眠いトロッコ道の開始だ。起伏がなくて単調で眠くなるのよね〜。
 楠川分かれの手前で休憩して、N山さんに明日の観光日のオススメポイントを聞いたりする。今日もこの後、宮之浦の近くまで行く用事があるからって絶景ポイントの松峰大橋まで先導してくれることになったりして。ありがとうございます!
 
「フルーツガーデンは行こうと思ってるんですけど」「それなら大川の滝と千尋滝は絶対見といた方がいいですよ。あと尾之間には温泉がいくつかあるから、ハシゴしてみるとか。ご飯食べるところはあんまりないからねー、あっても不味いし。●●ってラーメン屋なんか、なんでこんなに不味くなるんだっていうくらいだし、それなら屋久島温泉に行く時に曲がる交差点で曲がってちょっとしたら左手にある「ペイタ」ってパン屋は自然そのままの材料つかってて美味いから、そこで買ってもいいかもしれない。でも行っても売りきれてること多いから、行くなら午前中の方がいいと思いますよ。それから、青少年旅行村の先に珊瑚がたくさん打ち上げられてる浜があるから、そこも絶景ポイント」とか、いろいろ聞けてラッキーでした。
 小杉谷まで戻ってきて、普通だったら川の上にかかってるトロッコ道(橋)を渡るんだけど、みーちゃんが高いの苦手だということもあり、N山さんの提案で下の沢へ降りて向こうへ渡ろうということになる。降りていくとその沢には先に行ったグループの3姉妹+母親達や、縄文杉の所で見た2人組+ガイドさん達も裸足になって休憩してて、私等もさっそくここでも裸足になって遊ぶ。すごーい、こっちの方が大きな岩がゴロンゴロンしてる。N山さんは一際大きな岩にペタペタと裸足で正面から登っていってた。お兄ちゃんガイドが3姉妹を連れてその岩に後ろから回って登るって言うから、私とみーちゃん妹もそこに便乗して登りに行く。すごーい! 気持ちいい! 楽しいー!! 縄文杉よりこっちの沢遊びの方が好きかも(笑)。
 沢遊びしてたグループの中では一番最後に出発したけど、サクサク進む私達は途中で3姉妹+αグループを追いぬいた。単調な道のりでまたみんな半分寝ながら歩いてるんだろうな。N山さん含めてみんな口数少ないし(笑)。
 そして18時に荒川口に到着! 朝ここを出発してから丸々12時間! お疲れ様、やったー♪
 出発の時にもしたように、ストレッチをする。沢山歩いたもんね。しっかりやっとかなくちゃ。
 途中で追い抜いた3姉妹+αのグループは私達がストレッチも終わって車に乗り込んでもまだ戻って来なかった。
「きっと彼らが今日山を降りてくる最後だな」というらしい。帰りもN山さんの運転で今朝合流した地点まで戻り、そこからはN山さんの先導で私らの車は妹ちゃんの運転で松峰大橋へ。この近くにもトロッコ線路があって、どうもさっきの山を走っていた線路がここまで続いているらしい。ふぇ〜。
 松峰大橋はすごく高い所に架かっている橋なんだけど、橋の上から下を覗いて川の底が見えるってすごいよね。信じらんないくらい水が綺麗なんだ。山側には手すりの外側にもっと高い網が貼ってある。どうも三人ばかり落ちた人がいるかららしい。海側の方には網なくて胸くらいまでの手すりだけ。
 絶景をたっぷり堪能して、そろそろ暗くなりそうだからホテルに戻らなくちゃね。ここまで案内してくれたN山さんとは県道を走っている途中で別れ、私達はホテルへ、N山さんはガイド仲間の所へ飲みに行くらしい。ガイドやってる人ってタフだわ〜。



1999年5月17日(月)

 今日は1日フリーの日。終日レンタカーで島内観光に参りましょ♪
 まずは昨日N山さんに教えてもらったパン屋さんでお昼ゴハンを入手。お昼ゴハンを確保してから最初の目的地の温泉へ向かいましょー!
 車を走らせ、屋久島温泉へ。ここはホテルの中の入浴施設で、行ってみると「外部入浴者は17:00〜」との看板が出てました。うそ〜ん、夕方まで入れないのね。仕方がないので次の温泉、尾之間温泉へ。そうしたら、ここも「掃除のため、12:00〜」ってなっていて入れず。朝から温泉の夢が〜〜…。
 ま、入れないものはしょうがない。だったら先に観光しちゃいましょ。
 千尋滝で展望台からの眺めを満喫してから、トローキの滝へ向かう。
 トローキの滝は直接海へ落ち込んでいる珍しい滝なので、それを見るには本当は海から見たほうが分かるんだろうな〜。陸側からも見れるみたいなんだけど、そこへ行くまでの道がとっても獣道なのです。ふとすると見落としがちな入口の案内がある県道の脇に車を止めて、
「ここ、入っていくんだよねぇ…」という道を掻き分けていくと、途中で「この先通行止め」という立て札発見。え? と思って山の方を見ると、樹々の隙間から小さな滝が見えたよ。あ、これかー。ということは、ここが展望所? あ、岩がある。岩の上に乗ったら少し見晴らしは良くなったけど、これが本当にそうなの? なんだか誰もいなくて分からないよ。通行止めの立て札の脇を通って少し進んでみたりもしたけど、なんだか崖を降りていくような雰囲気になっちゃって更に危ない。うーむ…。そんなことをやっていると、私達が来た方向から兄ちゃん2人とおじちゃん2人がやってきた。やっぱり皆して「ここでいいんですよねー?」と言いながら(笑)。「岩に登ってみた方が少しは眺めがいいですよ」と勧めてみたりして。
 来た道を戻り、車を置いた場所まで戻ってくると、気づいてみたらちょうど道路の向かいが「ぽんたん館」だった。車はそのままにして入ってみる。“ぽんたん”や“たんかん”なんかのお土産物があったり、説明パネルがあったり。ここでお昼用に飲み物を買って、アイスも買って休憩所で一休み♪
 やっぱりゴハンは見晴らしのいい所で食べたいよね、と再度、千尋滝展望台へ移動。
 お昼を食べたら12時を回ったので、いざ12:00〜となっていた尾之間温泉へGo!
 尾之間温泉は源泉に近いから熱い、とはN山さんが昨日話してくれたけど、確かにちょっと熱いわ。何度くらいかは分からないけど、お湯が熱くて長くお湯に浸かってられないの。サクっと20分程で外に出て、入口脇のベンチで風に吹かれていた時が一番気持ちよかった・・・。あー、もう、魂抜けるわ・・・。
 
「魂抜ける・・・」
 これが屋久島フレーズ第二段に決定(笑)。第一弾は
「80歳になったら!(縄文杉に会いにまた一緒に来ようね)」
 続いて日本の滝100選にも選ばれているという大川の滝。“おおかわのたき”じゃありません。“おおこのたき”と読むのです。日本の滝100選に選ばれているという碑もありました。実は屋久島はここ2週間ばかり雨が降っていない。そんなこともあって滝の迫力はイマイチだったけど、水量が少ないからこそ滝壺の近くまで歩いて(岩を伝って)行くこともできたし、それは楽しかったかな。
 滝のすぐ近くにテーブルと椅子があって、そこではおじちゃん&おばちゃんが総勢6人でゴハンを広げていた。あいやー、戴いてしまいましたよ。
 一緒にもぐもぐ食べて、お土産まで貰って大川の滝を後にする。
 私達がもぐもぐしている時に若いお兄ちゃんガイドに連れられた女の子2人がやってきて滝を見ていったんだけど、後で聞いたら私達までおじちゃん&おばちゃんと一緒の家族だと思われていたらしい(笑)。
 次は青少年旅行村。キャンプができたりする場所なんだけど、このすぐ近くは栗生の潮溜まり(タイドロープ)という干潮時に岩の間に取り残されたお魚さんや海の生物の観察ができるところなのだった。干潮の時間も知らずに来たのに、時間バッチリでびっくり。ここで大川の滝で見かけたお兄ちゃんガイドさんに連れられた女の子2人と一緒になる。人のガイドさんなのに、
「あの峰が七子岳で、あっちが○○ですよ」とか「この辺の砂には星砂があるんですよ、こうして手を広げて砂に押し付けて、手のひらに付いた砂をじっくり見てみると…」「あー、ほんとだ、星砂みっけ!」「これやってるとはまるんですよね、時間も忘れて一生懸命になるから」とかいろいろ遊んでもらっちゃった。
 夕方になって
「やばーい! フルーツガーデンしまっちゃう!!」と慌てて出発。なんとかぎりぎり入れて係りの人に説明もしてもらえました。一回り説明をしてもらった後に試食でマンゴーやバナナ、たんかんと、ジャムを貰う。コーヒーの豆って、取ったばっかりだとこんなにぬるぬるしてるんだ。知らなかった。
 温泉といい、滝といい、潮溜まりといい、N山さんのオススメってば私達のツボばっか。というか、屋久島が何処にいっても私達のツボなのか。
 ホテルに戻る道すがら、再びパン屋のペイタへ寄ってみる。朝買ったのとはまた違うパンを買い、ケーキでお茶してのんびりまったり。
 締めくくりに外部入浴者は17:00〜だった屋久島温泉に入る! こっちの方が源泉から遠いから少しぬるい、とN山さんは言っていたけどそんなにぬるくはないぞ。まぁ、昼間入った尾之間温泉よりは多少温度は低いけどさ。猫舌猫手全身猫(熱いものが苦手。でも暑いのは好き)にはちょっと苦しいかも。でもお湯が熱くっても温泉に入った後ってのは気持ちいいよね! また魂抜けるよ〜(笑)。



1999年5月18日(火)

 無事に縄文杉へ逢いに行く登山も終わり、屋久島も一周まるっと観光した。
 今日はいよいよ島を離れて東京へ戻る日だ。
 まず、目覚めて窓の外を見た第一声。
 
「うわ〜! 山登り今日じゃなくてよかったね!!」
 どしゃぶりなのだ。
 ゴールデンウィークから2週間以上雨が降っていないという屋久島に、ついに雨が降った。しかも結構な降りだ。風もある。
 チェックアウトをしてから飛行機の時間までに今日もいくつかもポイントを見て回ろうと思っていた。ホテルの近くにあるウィルソン株の実物模型を歩いて観に行こうと思っていたのだけど、とてもとても…。チェックアウトする前にホテルで傘を借りて行こうかと考えていたのだけどね、傘なんか全くの役立たずですよ。ムリっ! 結局チェックアウトをしてから荷物を車に積み込んで、なんとか車で近くまで行ってきたけどね。その後、屋久島環境文化村センターで映像を見て、屋久島観光センターでお土産を買う。
 お昼を食べたら空港へ行き、空港向かいのガソリンスタンドで燃料満タンにしてから空港のカウンターにキーを返却。まだまだ出発までは時間があるけど、屋久島空港は小さいから特に見るようなお土産屋さんもなく3人でぼーっと待つことしばらく。なんだか雨が更に激しくなってきたよ?
 飛行機のチェックインは1時間前からだと言われたけれど、時間になってもチェックインは始まらない。カウンターの上には
「天候調査中」の札。ってことは、もしかして飛ばない可能性もあるのかなー。そしたらここでもう1泊? ラッキー。そしたら国民宿舎にでも泊まって、温泉温泉♪ などと3人で言っていたら、本当に欠航になっちゃったよ!?
 冗談で言っていたのにまさか本当にそうなるとは。いやいや、ラッキーじゃないよ、会社は今日までしか休み貰ってないし、いきなり島に閉じ込められても宿の手配ができるのか? うわーっ。それに、この便が欠航ってことは、この後2便ある鹿児島行きも欠航になる可能性が強いよね。それだってもう既に満席だし。振替えにしたって明日? でもこの天気だよ、この後の便も欠航になったら明日の便に振替えするにしても限度ってもんが…。なんたってこの飛行機は60人乗りだ。じゃあ、船で鹿児島まで行って今日の最終の東京行きに乗り継ぐか…。
 と、速攻そこまで考えて、カウンターで振替えの手続きや欠航の手続きする前に港の電話番号を確認して船の予約。今の状況を説明して、
「今屋久島空港なんですけど、これから乗れる一番早い便を予約したいんです」と16:15のトッピー号を3名予約。無事に島を脱出する術を確保したところでカウンターに行き、欠航証明書を出してもらう。最終の羽田行きに振り返られるかを聞いたら、「この時間のトッピー号は種子島を経由して鹿児島に行く船だから、鹿児島につくのは18:50。そこから鹿児島空港までは山を越えないといけないので、JASの羽田行き最終便の19:40にはとても間に合わない」、ということを言われてしまう。鹿児島の港から空港までは1時間近くかかるそうだ。「行けるんだったら今日の内に鹿児島まで行ってそこで1泊した方がいいでしょう。屋久島にいても明日の飛行機に乗れるかどうかは分からないから」ということだった。
 やっぱり先に屋久島から出る足を確保したことは正解だった。多分、この後ここにいる人は殆どが港に向かうことになるだろうし、ヘタをしたら船も満席で屋久島から出れなくなっちゃう可能性だってあるのだ。
 空港での手続きが終わったらさっそく宮之浦港まで。タクシーで走っているとどんどん雨脚が強くなってくる。運転手さんに
「この雨で船は大丈夫でしょうか」と聞いてみると、「大丈夫だと思うけど、空港から皆流れてくるから乗れるかどうかは分からないよ」「あ、それは大丈夫です、空港から予約しましたから」抜かりはない!(笑)
 港について、窓口で予約番号を言ってチケットを貰う。出航の1時間前から座席指定が始まるらしい。そしたらまずは今日の宿を確保しなければ。たしか、昨日本屋で買った本が…と、取り出して見る。屋久島と種子島を含む鹿児島県の観光情報本だったはずだ。まさかこんなところで役立つとは! 本の後ろの方に載っていた鹿児島での宿情報を元にさっそく検討に入ると、近くにいたお姉さんが
「私鹿児島に住んでるんですけど、何か役に立てることがあったら教えましょうか」と言ってきてくれて、すごい大助かり。ホテル情報とか、空港への行き方とかを聞く。空港行きのバスは10分間隔で出てるからとか。最終の空港行きのバスは18:50だから今日中に空港付近まで行くことは無理、やはり港付近で1泊しなければならない。では明日空港へ行くのに便利なホテルは? とか聞きつつ、何件が電話して予約。JASにも電話して、状況を説明してこの電話で飛行機便の振り替えができるかどか聞いてみる。私たちの旅行はパックだから直接空港のカウンターへ行かないと飛行機の振り替え予約は出来ないというので、では明日の空席状況は? 全便30席は開いてるから明日空港へ来てからでも大丈夫とのこと。これで一安心。宿を選ぶ時に鹿児島の観光局に電話したら、明日だったら大きな会議があってホテルも空きがなかったらしい、良かった、今日泊まるトコあって。
 おっと、そして会社に連絡いれなきゃ!
 どうやっても今日中に東京に戻れないということは、明日は出社できないということでしょ。電話して明日も休まなきゃいけなくなったと連絡しないとね。みーちゃん妹は明日も休みにしていたからいいとして、私とみーちゃんだよ。
 しかし…。どっちの職場もいい人たちだよ(笑)。
 小田蘭の場合:
 電話をした時に出たのは同じ部の先輩。
「あのー、実は大雨で飛行機が飛ばなくて、今日中に東京に帰れなくなってしまったので明日もお休みいただきたいんですが、部長か誰かいますか?」「ええっ?! 大丈夫? そっちはいま夜なの??」・・・・・・。いや、あのー…。私、屋久島に行くって休みを取って出てきたはずなんだけどなぁ。
 みーちゃんの場合;
 電話で事情を伝えたら大笑いされたそうだ。
 そして残る問題は…。
 船酔い
 飛行機が欠航する程の大雨&大風の中を進む船があまり揺れないといいな。座席指定が始まると、
「あまり揺れない所がいいんですけど」と言って2F席を取ってもらう。私はお腹が空いていると船に酔うから、と買っておいたパンを食べて出港を待つ(笑)。
 念の為にビニール袋を持って席に座ると船の中はぎっしり満席。やはり空港から流れてきた人たちが何人もいるんだろう。とにかく周りの人たちが酔って吐いているっぽい中、ひたすら目を瞑って必死で意識を散らすのだ。船内のTVではニュースが流れていて、屋久島地方は最大で1時間に98ミリもの豪雨になった時もあったとか、降り始めからの雨量が200ミリ近くになったとか、結局飛行機は午後の便が全て欠航になったとか言っていた。屋久島地方には大雨洪水警報、雷、波浪、強風の各注意報が出ているということなんだけど、今まで2週間も雨降ってなくて乾ききったところにこの大雨で大丈夫かな。雨風と波は鹿児島に近づくにつれて穏やかになっていく。よかった、なんとか吐かずにすんだよ。
 19時過ぎに若干の遅れで鹿児島に到着。船の中でタクシーの予約を受け付けてたからそれを予約したら、船を降りたところで「●●様」という札を持って出迎えてくれたよ。でも出迎えてくれた運転手さん、私たちが予約した「ビジネスホテル、アトリエ」を知りませんでした。屋久島の港でいろいろ教えてくれたお姉さんも知らないって言ってたんだよね。どんなホテルなんだーっ?!
 それにしても今日は午後から疲れた。チェックインしたら明日の為にバス停の確認に行って、途中で夜ごはんを食べて帰ってきてさっくり寝ましょう。



1999年5月19日(水)

 空港に行かないことには飛行機の振替えもできない。
 ということで、9時前には空港に到着できるようにしようとホテルを出る。バスで山越え、空港のカウンターで欠航証明書を見せて、無事に今から乗れる一番早い便の席を確保することができました! いや、ホント早く出てきて良かったよ。カウンターの後ろにある空席案内を見ると、羽田行きは私たちが確保できた便しか空きがないんだもん。それ以外全部満席! やっぱり昨日屋久島から乗り継げなかった人が振り替えしたんだろうな。
 そんなこんなで、なんとかお昼過ぎに東京へ帰ってくることができました。
 3泊4日の予定が、思いもかけない4泊5日。でもトッピー号にも乗ることが出来て、鹿児島で黒豚も食べることが出来て、なかなかできない体験だったんではないでしょうか。



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:参考サイト:

屋久島観光協会
http://www1.ocn.ne.jp/~yakukan/

屋久杉自然館
http://www5.ocn.ne.jp/~yakumuse/

屋久島環境文化村ネット
http://www.yakushima.or.jp/

高速船トッピー
http://www.toppy.jp/