12■クリール










チワワ鉄道の路線沿いに観光客が降りるような場所はいくつかあるけれど、クリールはその中でも一番下車する人が多い場所だと思う。
観光に必要な施設(宿泊や飲食やお土産屋に銀行等々)は基本的に鉄道駅からの徒歩圏内に集まっていて、とてもこぢんまりとした小さな町だ。
大通りを右から左へ、中心と言えるような場所は15分もあれば歩けてしまう。

小田蘭が乗ったチワワ鉄道がクリールに到着したのは、予定時間を2時間程過ぎた頃だった。
ロスモチス出発から11時間。
それでもこちらの鉄道の(特にメキシコに1つしかないという定期旅客鉄道の)2時間の遅れは充分想定内。
よくあることなのだ。
17時ならまだ外も明るいし、荷物を置いて町の様子見と夕食を兼ねてぶらりと散歩に出掛けてみた。

カラフルな服を着たタラウマラ族が歩いているのを見ては衣装に目が行く。
一見全く合いそうにない色や柄物を合わせているのに、それが何故かこのメキシコの空気にマッチしているのだ。
派手な色合いの壁の前を歩いているカラフルな服を着た人。
それがこの空間に綺麗にハマっている。

車で走れば湖や山間の住居跡を見に行くこともできる。
雲ひとつない真っ青な空に、白い壁の教会。
花柄だったり色鮮やかなスカートにチェックやストライプ柄の大判ストール、頭にはこれまた色違い柄違いのスカーフ。

レンタサイクルもあるので、MTBを借りれば自分で周辺を回ることもできる。
さすがに渓谷の町は夜が寒いけれど、空気が綺麗で静かで気持ちがいい。

そして、翌日チワワに向けて出発する列車は1時間の遅れ。

一応定刻に駅へ行ってはみたけれど誰一人いやしない(笑)。
そのうちナッツ売りの家族がやって来て、乗客らしき人達もぽつりぽつり。
人が集まりだしたのは定刻から45分も過ぎた頃だっただろうか。
みんな心得てるね!
あ、泊まっているホテルで到着時間を調べてもらってから来てるのかも?!