<メキシコの税関>

入国の際の税関審査とは普通は税関申告書に記入、
もしかしたら2〜3の質問を受けることがあるかもしれない。
しかしメキシコの税関では…。
その時の話を同人誌から抜粋しました。
誌面では縦書きだったので横書きだとちょっと見にくい部分もあるかもしれませんが、ご了承下さい。

★飛行機の話二(1997)
          <前略>

 預けていた荷物を取って、次は税関である。税関申告書を係員に渡して荷物を機械に通し、そのまま右脇を通り過ぎようとする蘭に係員が何やらスペイン語で話し掛けてくる。何を言われているのか分からない蘭はそのまま通り抜けようとするのだが、なおも係員は話し掛けてくる。後ろにいた父親がそれを見て係員と何事かを話し、機械を通り過ぎた蘭のところにやってきた。
「蘭、来る前に教えただろう、ボタンを押して通りなさい」
「あ、そうだ。忘れてた」
 メキシコの税関の変わっているところは、荷物を通したら自分でその脇にあるボタンを押すということだ。
 機械の左脇にそのボタンがあり、それを押して緑色のランプが付けば問題なくそのまま通過できるのだが、赤色のランプが点灯すれば荷物を開けて中身を調べられるという。しかも話に聞くところによると、緑が付くか赤が付くかは運次第で、一○回に一回くらいの割合で赤ランプになるという。これで税関の役割を果たすのだろうか甚だ疑問であるが、これもお国柄というやつなのだろうか。
 荷物を通しただけでボタンも押さずに、しかも右脇を通り抜けようとした蘭に制止の声が掛かったのは当然である。父親が気付いてボタンを押してくれ、無事に緑のランプが点灯したが、予め聞いていたにも関わらずすっかりその事を忘れていた蘭とそのやり取りに、見ていた銀子と七生子は大笑いしてしまった。もちろんそれを見ていた二人は当然の様に左へ回り、ボタンを押して通過した。
「あははは……。小田ちゃん着いた早々やってくれるわ」
「あの係員、結構真剣に止めてたよー」
「んなこと言ったって、普通これじゃあ荷物通したら自然に右側通っちゃうよ、右側にボタンがあればまだ分かりやすいのに」
 自分の失敗を棚に揚げてボタンの付き方に文句を言ってしまう蘭であった。
「えーと、じゃあこの後はもう直接ホテルに向かっていいかい? 食事はホテルに着いてからで?」
「ええ、お願いします」
 まだぶつぶつと文句を言っている蘭に変わって、銀子が答える。
「ほら、蘭行くぞ。言っておいたのに忘れたおまえが悪い」
「ちぇ、だってさー」



 そう、メキシコの税関って押しボタン式なの。残念ながらその写真はないんだけど、

     (1)X線機械(多分…)に荷物を入れる、
     (2)その機械の左脇にあるボタンを自分で押す、
     (3)ランプが付く。

 という手順なのだ。そして青いランプが付くとそのまま通過、赤いランプが付くと荷物検査となる。そんでもって、赤青どっちが点灯するかは確率の問題らしい・・・。ホントーか? ホントーにこれでいいのか? メキシコの税関!
 そして1998年10月、見事に赤ランプが点灯した私は荷物を空けさせられたのだが、そこの係員に「Japanese?」と聞かれて「Yes」と答えたら「OK」ってそのままアッサリ通過させてくれたのだった。こういう時って、日本人で良かったと思うよ。

last up date/1999.11.15