06■フェリー:乗船









紆余曲折あったものの、無事に希望日でフェリーのチケットも取れ、当日は乗船時間に合わせてバスでピチリンゲの港に到着すると・・・。

人、人、人!

チケットを取りに来た時には人の少ない寂しい港だったのに、この大混雑はどうだろう。
乗船待ちの人が列をなしている。
その後ろについて待つと、程なくして列が進みだした。

飛行機でもバスでも、小田蘭の荷物は常に手荷物として中に持ち込める程度の量だ。
当然今回も手荷物として全ての荷物を持ち込むつもりでいた。
だかしかし、荷物預けをスルーしようとする小田蘭に待ったがかかった。

えええ〜?
ダメなの?
持ち込めないの?
大きくないよ、飛行機もバスも手荷物なのに〜〜〜。
『ダメダメ、こっちに預けなさい。持って入っていいのはあんたが背負ってるリュックだけ』
そんなぁ。

敢え無く撃沈。
荷物没収(いや、荷物室預かり)。

まぁ確かに。
個室を取っていない身では、せいぜい椅子1つ分が自分のスペースだ。バスや飛行機のように上下に荷物を置ける場所があるわけでもなし。
しかたがない。

フェリーは思ったよりも揺れは少なく、食事つきで意外と快適だった。
夕日の頃にはデッキに出て真っ赤に海へ沈む太陽を見ることもできた。
それはもう、見事に赤い太陽だった。