それはアレキサンドリアの町中で迷っている時だった。 カタコンベから歩いてポンペイの柱まで行こうと駅から来る時にタクシーで通った道を辿って歩いていたはずが、気がつくと柱があるらしき一角が遠く離れてしまっていた。 そんなふらふらと歩いている時、何気なくすれ違った杖をついたじいちゃんに、コツンと左肘をつつかれたのだ。 ええっ? なんか突かれたよ? なんで、何かした? どうしてーっ? 振り返ると地面に杖を付いて「わしを撮れ」というジェスチャー。 え? 撮れって? じ・・・、じいちゃ〜ん。 カメラを向けて嫌がられたことは今まで何度かあるけれど、突かれてまで「撮れ」と言われたのは初めてだよ。 エジプトのオヤジって!(笑) その日はラマダン2日目、昼間のアザーンが流れていた。 町角に敷物が敷かれ、その上で男性が集まって一方向を向き、モスクのスピーカーから流れてくる説法に耳を傾けている。 全員頭を垂れて敬虔な面持ちの一団もいれば、足を投げ出したり組んだりしてくつろぎながら聞いている人達もいる。 一部の毛がピンク色に染まった羊が集団で餌を食べている。 この羊はラマダン明けに食べられてしまうという。 そのための目印でピンク色が付けられているのだとか。 カメラを持って町の風景を撮りながら歩いていると(迷っていると)、それを見つけた男の子たちが大騒ぎ。 カメラを向けると周りにいる子供たちがわらわらと集まって一緒に写ろうとする。 こっちの人達は撮られるのを嫌がったりしないんだなぁ。 ベールをかぶった小学生くらいの女の子もカメラを向けたらかわいらしいポーズを取ってくれた。 中南米だと子供でも写真を撮ろうとするとチップを要求したりするから迂闊にカメラを向けられないもんね。 エジプトではカイロでもアレキサンドリアでも、町の景色を撮ろうとしているのを見つかると、特に子供や青年はカメラの前に集まってくる。 いや・・・、私が撮りたいのはあのお店・・・(笑)。 さくちゃん家に向かう夜の路地も、子供がなんだか私たちの周りをウロチョロしていた。 なんだろう、気をつけなくちゃヤバイかしら(汗)。 なんて疑ってしまう私の心が汚れていたよ、ごめん! カメラを向けたら大喜びで2人ともポーズを取って写真におさまり、撮られると満足したのかさーっと離れて行ってしまったのだった。 なんて写真に撮られたがりな人たちなんだろう。 いや、いいわ〜。 いつにも増して、いい顔をした人たちの写真が撮れました。 |
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