09■バス





































セルチュクからパムッカレまでは1日に数本バスが通っている。
バスターミナル(オトガル)は町の中心にあり、当日でもチケットの入手は可能だが、乗りたい時間があるなら事前の入手が望ましい。

と、まぁそんな訳で、明るいうちにパムッカレに到着して宿に入りたかった私は本当なら前日にオトガルでチケットを入手しておきたかったのだけれど、トロイツアーの後のセルチュク入りが夜遅くなりそうだった為、現地ツアー取り扱い代理店に打診してバスチケットの手配もお願いしておいた。
日程に余裕のない短期旅行では、使えるものは使うがよし。

パムッカレは小さな村で、石灰棚を目当てにパムッカレへ行く人は大抵その近くにある大きな町デニズリを経由して向かうことになる。
中長距離バスも鉄道も、止まるのはデニズリだ。
今回もセルチュクからデニズリへバスで行き、デニズリからドルムシュ(小型の乗り合いバン)に乗り換える予定だった。

さて、パムッカレへの移動当日は午前中にチェックアウトしてエフェス遺跡へ行き、宿へ戻って荷物を受取ったらバスターミナルへ。
チケットを受取ったのは赤地に白抜き文字の看板「PAMUKKALE」というバス会社のカウンターだった。
なのですが、手にしたチケットには「Isparta」と書いてある。

うーむ??
あ、一応「PAMUKKALE」の看板の下にそのバス会社の名前も書いてあるなぁ。
でもどのバスに乗ったらいいんだろう。
とりあえず、出発時間までにオトガル内の雑貨屋で昼食代わりの軽食になりそうなものを買い、バス会社のカウンター付近で待つことにした。
時間になってそれらしいバスがやってきたら係員の側にいってチケットを見せて確認をすれば目的のバスに乗れるよね。
1〜2度そういったことを繰り返し、無事に目的のバスに乗り込んでみると既に座席は半分以上が埋まっていた。
セルチュクへ来るまでに他の土地を経由してきているようだった。
とりあえず空いている場所に座ったけれど、後から気付いてみればチケットにはシートナンバーが記されていて、座席には通路側の席の肘掛のあたりに番号が振られていた。
幸い私は大丈夫だったけれど、同じようにセルチュクから乗り込んできた男性バックパッカー2人組みは最初に座っていた席から移動させられていた。
おそらくたぶん、彼らが座っていた席は家族連れの席だったからだろう。
私が座った席は、別に動いても大丈夫な人が持っていたのだと思われる。
アバウトな所がとってもステキ(笑)。

バスは一路デニズリに向かう。
途中でいくつかの町で人を降ろし、人を乗せ、セルチュクから乗って3時間が経つ頃、窓の外にはパムッカレという案内板が見えてきた。

そうか、ここで曲がるとパムッカレなんだ。
でもこのバスはデニズリ行きだから、一旦デニズリまで行ってから乗り換えないとね。
パムッカレまでは少し道を戻る感じになるのか〜。

なんて思いながら窓の外を眺めていると、大きな幹線道路の途中でいきなりバスが止まった。
もうすぐデニズリだと思うのに、なんでこんな道路の途中で止まるんだ?
ここはいったいどこなんだろう?

すると、バスに乗っていた係員が私に向かって降りろと言ってきた。
ええっ?!

他にもセルチュクから乗ってきた日本人男性パッカー2人と、同じくセルチュクから乗ってきたジャグリング用具を持った欧米系の男性も呼ばれて降ろされる。
降りるとそこにはバンが1台止まっていて、全員そちらに乗り換えるようにとのことだ。
預けた荷物も荷物室から出されてしまった。

え〜? まさかこれでデニズリに行くの???
パッカー兄ちゃんも同じことを思ったらしく、
『これはデニズリに行くのか?』と聞いている。
バンの運転手は「PAMUKKALE」というバス会社の案内板を持っているからバス会社の人だろうと思われるのだけど・・・。
『大丈夫、行くよ!』といいながら全員の荷物を積み込み、車は先程パムッカレと案内が出ていた道を入っていく。

うーん、もしかしてこのままパムッカレへ連れて行かれるのかな。
それならそれでかまわないし、自分でドルムシュに乗り換えなくていいからラクでいいけど、なんで私たちがパムッカレ行きだって分るんだろう。
そりゃ見た目完全に観光客してるけどさ、もしデニズリに知り合いがいて本当にデニズリに用があったらこのバンでデニズリまで行ってくれんのかな。

私たちを乗せたバンは田舎道を走り続け、観光地ではない田舎の家の間を通り抜け、やはりというか本当にパムッカレ村へ連れて来られた。
しかも、途中でホテルの前に止まり、
『ここは私の親戚がやっているホテルだ。今日の宿は決まっているか?』ときたもんだ。
こらこら運転手。
あんたバス会社の人間じゃないのかーっ!!

私は既に日本で見つけた日本人女性がオーナー夫人のホテルを予約していたし、パッカー兄ちゃん達もイラつきながら断っていた。
だって安宿じゃあないんだもんね。
バックパッカーの求める宿じゃないよ、ここ。
欧米系男性にも断られ、運転手は仕方なくといった様子で車をすすめる。

到着したのはパムッカレにあるバス会社のオフィス前。
そういえばここは某歩き方にも載っている、日本人の奥さんがいる安宿オーナーの手がけるバス会社では・・・?
到着したら今度は
『帰りはどうするんだ、バスの手配ならここで出来るぞ』と。
さすが商魂逞しいというかなんというか。
まぁ私はここから飛行機でイスタンブルに戻るのだけど、朝の便だから空港までの足をどうにかしないといけなかったし、空港送迎をお願いすることにした。
すると隣の食堂から日本人の奥さんが呼ばれ、あれこれと日本語で手配ができたのは助かったのだけどね。
その後、予約していたホテルまで車で送ってくれたし(それほどの距離ではないのだけど)、パッカー兄ちゃん達も目当ての安宿に行けそうでよかったよかった。

いや、それにしても。
デニズリ行きのバスのチケットを手配したのに、途中で降ろされてパムッカレに連れて来られるとは思わなかったなぁ。
デニズリでドルムシュに乗り換えて来るより時間短縮できて結果的には良かったけどさ。
ほんと、個人の旅は何があるか分らない。