08■メスキータ












コルドバ散策をしようと思っていた日は、目が覚めたら雨だった。
しかもそのまま1日雨降り。
前日は夕陽も見れていたのになぁ。


この日はまずメスキータに行こうと思っていたので、雨の中傘を指しながら向かう。
と言ってもホテルはメスキータの裏手なので、入口に向かって歩いてすぐに到着するのだけれど。

しかし…。
うーん、外観も撮りたいのに雨…。
しかたないか、と歩いていると、前方からどこかで見たような人影がこちらに向かって歩いてくる。
向こうもそうだったようで、すれ違う時にお互い顔を見て「あぁ!」と驚きつつ挨拶を交わした。
昨日ミラフローレス橋の所でバスを降ろされて困惑していた4人のうちの中東系の2人だった。
こっちの2人はカップルだったのか。
まぁそうだよね。
スカーフを被ったムスリムの女性が一人旅とはあまり考えられないよね。

雨の日は歩いている人も少ない。
しかしメスキータの中にはそこそこ人が入っていた。
やはり雨の時はおとなしく屋内施設を回るがいいかもね。
「青い空とオレンジの樹と実」という絵は撮れなかったけれど、メスキータの内部はいろいろと撮ってきた。

メスキータとはスペイン語でモスクという意味であり、コルドバのメスキータはその内部に教会とモスク両方の機能を有している。
中に入ると、柱が林立する仕切りのない広い空間に、ここはモスク部分、こちらから教会部分、と配置されていて、あちらに教会の祭壇画見えたかと思えば、こちらにはミフラーブ(メッカの方角を示す壁面装飾)がある不思議な空間だった。
一部は仕切りで区切られていて博物館や美術館のように調度品が展示されていたりもする。

なぜこのような不思議な空間が出来上がったのかといえば、それはやはりこの地域の歴史による所が大きい。
6-7世紀には西ゴート王国の教会があった場所に勢力を拡大してきたイスラム教の後ウマイヤ朝がモスクを立てたのが8世紀。
その後も拡張を続けて10世紀末には現在のような巨大モスクとなったものの、13世紀にレコンキスタによるカスティージャ王国のコルドバ征服でカトリック教会として転用。
16世紀にはモスク中央部にゴシック様式とルネサンス様式の折衷の教会堂が建設。
といった制服の歴史でもあるのですね。

征服した国が当時の宗教建築の上に自分たちの主要建築物を建てるというのは世界中で見られるけれど、メスキータのように見事に混在しているのはなかなか珍しいと思う。
ラテンアメリカにだって、先住民の建物の土台を残してその上に教会を作ってしまった例はあるけれど、大抵は土台だけ残っていたり埋めてしまった後に建設したりってことが多いんじゃないかと。
でもここは、壊されてしまったものもあるけれど残っているものも多い。
どちらが良いとか悪いとかは別として、後世の私たちからしてみるととても興味深い建築となっているのだ。