タブラやウードにネイといったアラブ地域で使われている楽器の演奏を聞かせてくれるカフェがある。 特に時間が決まっている訳ではないようだけど、たいてい夜の22時くらいから日付を越えて深夜まで、休憩を挟みながら、編成を変えて演奏者が日替わりで出演しているのだそうだ。 畏まって「音楽を聴きに行く」という感じではなく、カフェに流れるBGMが生演奏というもの。 私たちにしてみれば相当贅沢な空間なのだけれど、見てみると演奏者の正面で新聞を読みながらシーシャをふかしている人もいれば、Wifiに繋いでパソコンを使っている人もいる。 うん、この雰囲気。 すごく好きだ。 友人の住むフェイサルからトクトクに乗って1〜2分の大通り沿いにカフェはある。 友人宅で夕食を食べてのんびりして、友人とシェアメイトのダンサーと一緒に23時近くになってからカフェに向かうと、5年前に豚肉カレーをふるまってくれた友人の後輩が旦那と可愛い子供と一緒に外の席に座っていた。 いつもはこの時間に来ても普通に中の席に座れるらしいのだが、この日は混んでいたのか店内の席は既に埋まっていたらしい。 8人の大所帯となる私たちが一緒に座れる席は店内にない。 しばらく外のテーブルで談笑しながら席が空くのを待つことにした。 10月のエジプトの夜は暑さもだいぶ和らいで過ごしやすい。 日中の日差しはまだ暑いけれどピーク時に比べればだいぶ落ち着いているし、夜の屋外もまだそこまで涼しくないので滞在するにはいい時期だろう。 しばらくするとテーブルが1つ空いたというので、後輩家族を残して私たちだけ中に入らせてもらう。 その後空いた椅子やテーブルを寄せて全員で中に入れたのは24時頃だっただろうか。 この日はドフ(所謂タンバリン)、ウード(背面が丸いギターのようなもの)、カワラ(笛)、バイオリンのカルテットだった。 写真ではドフの人が隠れてしまっているけれど、正面向かって左から、ドフ、ウード、カワラ、バイオリン、という編成だ。 このカフェに何度か来ている友人や友人の後輩夫婦によると、ドフの奏者がすごくいい方で、1才前後の子供が遊びに寄って行った時にも相手をしてドフを叩かせてくれようとするような人なのだとか。 中世の給仕のような服装をした店員や、天井から下がるランプの装飾から漏れる灯りの形が反射する店内。 新聞を読む人、シーシャを吸う人、テーブルの上でパソコンを広げている人や、本を読んでいる人。 消して騒がしくはないがある程度のざわつきの中を静かに流れる生演奏のBGM。 時間は深夜。 贅沢な空間にいた時間が今となっては夢のようだ。 タウンタウンのホテルに滞在していた私たちは、24時半頃に合流したタブラ奏者とダンサーさん(共に日本人でカイロ滞在中)に挨拶をして入れ替わりにこの空間を後にした。 last update / 2013.01.04 |
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