ハロウィンと死者の日

アメリカ&メキシコ
2003年10月26日(日)〜11月5日(水)

last up date/2004.10.29


出発前

 メキシコには死者の日というものがある。
 この存在を知ってから、私は是非ともこの時期のメキシコに行ってみたかった。行くなら死者の日で有名なパツクアロ近郊のハニッチィオ島 かオアハカだろう。行きやすさの点ではオアハカが圧倒的に有利だ。民族色が色濃く残るというオアハカには前から行ってみたいとも思っていた。近くには遺跡もあり、ウルトラバロックと言われる教会も点在している。中でもサント・ドミンゴ教会は見ものだと言う話だ。オアハカの歴史地区とモンテ・アルバンはユネスコの世界遺産にも登録されている。死者の日だけを目的にいくならハニッチィオ島が正統的だという点で一番なのだろうけれど、せっかく遠くまで出かけて行くのだから興味のあるものが沢山集まったオアハカがいい。そう思った。
 メキシコ行きを決めた時、去年アメリカとカナダを回る旅行日程に組み込んだシカゴ訪問後、今年に入ってからも
「次はいつ来るのー? 楽しみにしているからまた来てね!」と言ってもらっていたのを思い出してシカゴに寄る計画も追加した。こういう誘いに関してのフットワークの軽さには定評がある小田蘭(笑)。自分で計画して出かける旅も多いけど、友人・知人の軽い一言がきっかけで出かけていくことも多いのだった。
 死者の日というのはこちらで説明したように、メキシコ土着の行事とキリスト教がまざって出来たようなものだ。メキシコシティ等の大都市では、死者の日というより殆どハロウィン寄りのお祭りになっていることもあるという。そう、アメリカではこの時期ハロウィンなのだ。以前、10月中旬にシカゴへ行った時にもハロウィン飾りが目に着いた。今回は時期的にそれよりももっとハロウィンに近い。ちえ&たんた宅に泊まらせてもらうことになっているので、住宅地の中を歩けばきっと各家庭のハロウィン飾りも見れるだろう。
 旅の同行者は琴弥桂。メキシコに行く話を持ちかけたらノッってきてくれた。同日着でシカゴ経由メキシコ行きUA便が取れたので、小田蘭のシカゴ発と桂さんの成田発シカゴ経由メキシコ行きの便を合わせてシカゴのオヘア空港で合流。メキシコをご一緒することになった。



2003年10月26日(日)

明細(一部抜粋) 外貨 円貨
入場料/ネイビーピアのハロウィン会場 8.00 870
 成田からのフライト中は大きい揺れが何度かあった。その都度機内サービスがストップしながらなんとか辿り着いたシカゴ、オヘア空港。
 飛行機に乗っていて「ひ〜〜〜え〜〜〜〜っ」とあんなに心の中で騒いだのは初めてだったかもしれない。こ…怖かった。だいたいにして私は飛行機があまり好きではないのだ。こんなに海外へ出かけていて飛行機もさんざん乗っているだろうに、と思われるかもしれないけれど、苦手なものは苦手なのだ。だから食べる時以外は眠ってやりすごしているのかもしれない。離陸と着陸の時以外殆ど外の景色は見えないし、狭い椅子にぎゅうぎゅうになりながら座っていないといけないし、狭い座席の奥の席になんか割り当てられようものならトイレに出るのも一苦労。ビジネスには高くて乗れないし(ビジネス料金払うならエコノミーでその分もう1回旅に出たい)。離陸して高度がどんどん上がっていく感覚が苦手で、水平飛行中でも今回みたいに気流の関係で上下左右に揺れようものなら「カンベンして〜っ」と心の中で密かに騒いでいるのだ。あくまでも心の中でだけどね。
 そんなこんなで飛行機はあんまり好きじゃない。
 でも旅はしたい。
 そんなジレンマを抱える小田蘭は今日もドキドキしながら飛行機に乗っているのだった。

 成田空港でのチェックイン時に
「通路側の席で!」と言ったにもかかわらず5人掛けのド真ん中になってしまい、両脇を恰幅の良い人々に囲まれて窮屈な10時間をのりきってシカゴへ到着したのは10月26日のa.m.10:40。予定より1時間も早く到着した。ちえちゃんとたんたっちが迎えに来てくれるまでは出口付近で待ってるか、と思いながら税関を通り過ぎると久し振りな彼らの姿が見えた。航空会社のホームページで運行状況を確認して、それに合わせて迎えに来てくれたようだ。インターネットって素晴らしい!(笑)
 長時間のフライトもなんのその、「時差ボケ? なにそれ」状態で到着してすぐにちえちゃん&たんたっちの車でネイビーピアに連れて行ってもらう。
「どこか行きたい所ある?」と聞かれて、一番最初にシカゴへ来た時に地元のおばちゃんから「おもしろいよ」とオススメされた場所をあげてみた。かれこれ5年くらい前? 会社の同じ部署から赴任している人をツテにシカゴに来た初日、食事をしている時に隣り合わせた熟年夫婦の奥さんからオススメされたのだ。今回行ってみたらレストランやショッピングモールがあって子供向けな簡易遊園地みたいな感じだったけど、時期がちょうどハロウィン前ということで各店鋪店員さんも仮装してる人が多いなぁ。ぬいぐるみ屋に微妙な白塗りのあやしい振袖姿の兄ちゃんの店員がいるんだけど、それはなんか間違ってない? 志村けんのバカ殿みたいだよ。
 ケーキの展示をやっている会場にいた白いむくむくしたのは何? むくむく触りたい〜〜〜!
「ああ、あれな。こっちで大人気のパンのキャラクターやねん」
 他にも仮装(ってーか、コスプレ?)しているカップルがいたり、なかなか楽しかったネイビー・ピア。外にはハロウィンの子供用アトラクションもあったりして、私達は
「なんか並んでるの子供連ればっかりだね〜」と言いながらUS$8.00払って中に入ったりもした。さすがに大きな滑り台やビニールでできたトランポリンルームみたいなものには入らなかったけど、お化け屋敷に入ったりしてね。
 その後はバスと徒歩でシカゴトリビューンの壁を見つつカルチャー・センターへ行き、ティファニー製のドームがあるホールとか、ダイアナ妃が来た時にセレモニーで使ったホールとか。階段に埋め込まれているモザイクも綺麗だった。
 う〜、それにしてもシカゴ寒いぞ!
 そりゃあ事前情報でたんたっちから寒いとは聞いていたけどさぁ。以前10月中旬に来た時はこんなに寒くなかったよ? シカゴの秋の短さをなめてたかも。日本と同じくらいか若干寒いくらいかな、と甘く考えていた私の格好は、綿パンツ+長袖のタートルネック+長袖パーカー+デニムの裏地付ジャケット+ニット帽、というもの(この格好、ADみたいと言われた(笑))。到着してすぐはまだよかったんだけど、遊んでいるとどんどん手が冷たくなって・・・・・・寒いわっ。

:参考:
 http://www.navypier.com/
 http://www.odekake.us/topic_navypier.htm
 http://www.chicago.il.org/japanese/NAVYPIER.HTM



2003年10月27日(月)

明細(一部抜粋) 外貨 円貨
バーガーキング/昼食 4.95 538
アップルサイダー 1.11 121
焼肉ビュッフェ/夕食3人分チップ込 80.00 8,702
 月曜日は当然たんたっちはお仕事。ちえちゃんはお花の教室に行っていてお休みできない日らしい。朝は普通に起きて一緒に食事を食べて、たんたっちに続いてちえちゃんも出かけた後は一人で家の中でぼーっと……二度寝しよっかな(笑)。たんたっちの会社はここから車で近いらしく、いつもお昼は家に戻ってきてちえちゃんと一緒に食べているんだそうな。今日はたんたっちがお昼に戻ってきて私と一緒に外へ食べに出かけた後、会社に戻る時に私を近くのショッピングモールに落としていってもらうことになった。ちえちゃんとはそのモールで時間を決めて待ち合わせをして、時間までは一人ふらふらウィンドウショッピングでもしようかということだ。そして合流してからパンプキンファームに連れて行ってもらうのだ。
 ハロウィンの習慣があるアメリカならでは、郊外の園芸店がハロウィン前のこの時期だけカボチャ一色になるのだという。すごいや、さすがアメリカ。スケールが違うわ。遠くからも園芸店の屋根の上に巨大な顔つきカボチャがどっかりと乗っているのが見え、一歩足を踏み入れればカボチャカボチャカボチャ! 日本ではカボチャと言えば普通は緑色した皮の食べる南瓜がすぐに思い浮かぶだろうけれど、ここのカボチャってばもう、カボチャとひと括りにしていいものなんだろうか、ってくらい小さいのから大きいのから丸い形や細長い形や……。カボチャってこんなに種類があるものなのね、とただただ感動。しかも家族連れがショッピングカートを転がしてカボチャを物色し、本当に一抱えもあるカボチャを買っている場面を見てしまったら
「本当にハロウィンってこんなカボチャ買うんだなー」と訳も分からずなんだか納得してしまうのだった。
 この後、ちぇ&たんた宅でTVを見ている時に、アメリカのどこかでやっているカボチャ祭りの様子が映し出されていた。カボチャの料理を作るコンテストがあったり、機械を使ってカボチャを遠くまで放り飛ばす競技があったり、こんなにもカボチャ関連を至る所で目にするとは想像以上でちょっと驚きもしたものだ。



2003年10月28日(火

明細(一部抜粋) 外貨 円貨
ジミー・ジョ−ンズ/昼食 6.00 653
OLDNAVY/Tシャツ 2.13 232
Lou Malnatis/夕食3人分チップ込 39.10 4,253
 昨晩寝しなに気付いてしまった。
 しまった、家賃ーーーっ!
 実は小田蘭、家賃の振り込みはネットバンキングで毎月webから振り込んでいるのですが、今回は旅行前に振り込んでくるのをすーっかり忘れていたのだ。帰ってからだと11月になってしまう。幸いここはちえちゃん&たんたっち宅。パソコンもあるしインターネットにも接続できる。あぁ、インターネットって素晴らしい!(笑) ってな訳で朝起きてパソコンを借りてポチっと振り込み完了。ネットバンキングで振り込みしていて良かった!
 ということで懸案事項も無事終了。今日はちえちゃんに車で約1時間程の所にあるロング・グローブという街に連れて行ってもらうのだ。ここはカナダのユニオンヴィルやナイアガラ・オン・ザ・レイクのような(後日カナダの旅行記を…(汗))、小さくて一角にちまっと可愛いお店が集まった女性好みの場所だ。この時期はちょうど何もない時期みたいだけれど、その時々でフェスティバルが開催されるらしい。そしてハロウィンが終わったらクリスマス仕様になるんだろう。1年中いつでもクリスマス物しか扱っていないお店もある。こういうお店はカナダにもあったから、わりとどこにでもあるのかもしれない。
 ロング・グローブを一通り歩いて楽しんだ後、戻りながらお昼を食べて、モールでふらふらショッピング。お土産になりそうな可愛いハロウィングッズをいくつかと、子供用のTシャツを買う(笑)。Tシャツは自分用だ。子供用と言っても若干丈が短いくらいで臍出しにはならないし、黒地にオレンジ色の小さなカボチャが胸の上に3つ並んでついていて可愛かったのだ。しかもめちゃ安。子供用でもともと金額的に安い所へもってきて、ハロウィンまでもう日にちがないし半袖だから値下していたんだろう。なんと税込みでUS$2.13(232円)。来年着ようと思っていたのだけど、まさかこの後のメキシコが暑くて大活躍するとは思いもしなかったお買得な1品。
 ほくほくしながら帰ってきて、会社が終わって戻ってきたたんたっちと合流して今日の夜はシカゴピザ! もうこれ以上入んないってくらいお腹パンパンになって、戻る時にハロウィンの飾り付けをしている家のデコレーションを車上から見学する。そこは去年のクリスマス・イルミネーションが個人の家でそこまでデコレーションに凝るかってくらいすごかった一帯らしい。残念ながらハロウィンのデコレーションはそこまですごくはなかったけれど、それでも家の中の窓際に置いてあるドでかいカボチャがライトアップされて外から見えるようになっていたり、なかなか楽しませてくれた。



2003年10月29日(水)

明細(一部抜粋) 外貨 円貨
タイ・ガーデン/昼食3人分チップ込 24.11 2,622
 ちえ&たんた家にお世話になって早3日目。今日はもうメキシコへ出発する。
 朝ごはんを食べてたんたっちが会社に行った後、ちえちゃんに付き合ってもらってご近所散策に出かける。ご近所さんのハロウィン飾りを見るのだ。ちえ&たんた宅にも玄関に簡単なカボチャが飾ってあるけれども、こちらの人の家はどんな感じでハロウィンの飾りをしているんだろう。昨夜見てきた所は夜だったからライトアップは綺麗だったけれども、明るい場所で詳細なデコレーションを見てみたい。
 ちえちゃん&たんたっちがこちらに来て初めてのハロウィンだった昨年、ちえちゃんはお菓子を用意して子供達が来るのを待っていたらしい。家をハロウィン仕様にデコレーションしている所には子供がお菓子を貰いに来るということで、カボチャも飾ってみたけれども、当日は待てども待てども子供が来る気配はない。それでもやっと数人の子供が来たのだとか。今年は何人きてくれるかな、という今日はハロウィン2日前。
 ちえちゃん達が住んでいる所というのはゴルフコースの中の住宅地で、窓から外を見ればコースを回っている人と目があっちゃったりするような感じだ。周りにはゴルフコースと所々に固まって住宅。そして広場とも言えないだだっぴろい林のような所。さらに歩いていると遊具がある公園もあったりこの辺りの子供が通う学校があったりする。そんな所をちえちゃんの案内であちこちの住宅を縫いながら歩いて回ると、まったく飾り付けをしていない家もあれば、庭に墓地を作っている家、庭の樹や軒先にヒトガタがぶら下がっている家壁に魔女が貼り付いている家、etc......これは見ているだけでめちゃくちゃ楽しい! あまりにもハロウィンの飾りばかりを探し続けていて、最後にはゴルフコースの各ホール地図のグリーンやバンカーの絵までがハロウィンのゴーストに見えてしまったほどだ。
「すごいねー。この時期はゴルフコースもハロウィン仕様なんだ」
「え? どれどれ?」

「ほら、あそこ。ホールの案内なのかなぁ、あの立て看板も………ってごめん! あれ本当にホールの地図だ。あまりにも一気に沢山ハロウィン飾りを見過ぎてて、なんでもかんでもハロウィンに見えちゃってるみたい」

「おだっち〜(笑)」

 そうやって小1時間もあたりを歩いていると、こちらの気候にしては薄着な私は寒さに耐えられなくなってきた。手袋なんてない手はかじかむし、鼻の頭や耳が赤くなって痛くなってきた。ちえちゃんの案内で家に帰ってぬくぬくコタツに潜り込む。コタツってなんて素晴らしい日本の文化なのかしらん(笑)。それに、あちこちうろつき回ってすっかり方向感覚がなくなってしまったので、ちえちゃんが一緒に回ってくれなかったらきっと住宅地とゴルフコースの真ん中で迷子になってしまったことだろう。
 冷えきった身体をおコタでぬくぬく暖めていると、お昼になってたんたっちが会社から帰ってきた。今日は午後の仕事をお休みして一緒にお昼を食べた後、空港まで送ってくれることになったのだ。う〜ん、私ってば知り合いの所に遊びにくる度にこうやって仕事を休んでもらって案内&おつき合いしてもらってるなぁ。数年前のシカゴでの赴任者しかり、昨年のカナダの赴任者しかり。本当にありがたいことだわ。感謝!
 さて、ここで桂さんと合流。待ち合わせはシカゴのオヘア空港で。メキシコ行きの便を合わせて、小田蘭はシカゴで手続をして、桂さんは日本からシカゴへ来てメキシコ行きに乗換え。そのメキシコ行き便の搭乗ゲート前での待ち合わせだ。
 こういう待合せは海外だと特にドキドキする。今や日本では友人・知人の殆どが携帯を持つ環境で、何かあったらすぐに連絡ができる。その状況に慣れてしまっているからだろうか、待合せの相手と連絡の手段がないというのはなんとも不安なものだ。
 ドキドキしながら待つことしばらく。無事に桂さんとの合流を果たし、メキシコまで時差なし5時間の空の旅。メキシコシティの上空にさしかかり、まもなく着陸という時に目にした地上の景色にはヤラレてしまった。なんて綺麗なんだろう。離着陸時には電子機器が使えないのでデジカメに写真を残すことはできなかったのだけれど、メキシコシティの夜景があんなに綺麗だとは思いがけなくて感動も大きかった。


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