■アレッポで再会




アレッポの町中を歩いている時だった。

「HAIJIーーっ!!」
と、突然前方から歩いてきたムスリムの女性が小田蘭の隣を歩いていたはいじさんを見て声を上げた。

ええっ?!
アレッポの知り合い?

聞けば以前通っていたムスリム学校での同級生なのだとか。
コーランを読む授業があったりアラビア語の授業があったり、イスラム教の学校と言っても非ムスリムでも受講可能なので、勉強の為にはいじさんも通っていたとのことだ。
生徒の多くはアラビア語圏以外の国からシリアに来たムスリムのようで、学友は国際色豊かなようだ。
中には元々ムスリムではなかったけれど、この学校に通ううちに改宗した人もいるらしい。

はいじさんは暫く通って一通り勉強したら辞めてしまったけれど、その時一緒に勉強していたトルコ系やタイや台湾の子がはいじさんを見つけて声をかけてきたのだ。
彼女達は全員ムスリムで、頭から足元までしっかりと覆っていた。

あれ? でもダマスカスの学校だよね?
「うん、試験休みで皆でアレッポまで遊びに来たみたい」
学校へ行くのを辞めて会うこともなくなった人とダマスカスではなくアレッポで会うことになるとは、すごい偶然だ。
彼女達は翌日のツアーでも偶然一緒になるという、いったいどんな確率なんだという再会を果たしていた。