■デコ電




ベイルートで見つけた電卓はキラキラにデコられていた。
これも所謂「デコ電」だ。
(通常、日本で言うところの“デコ電”とは、キラキラにデコレーションされた携帯電話で、主に若い女性が持っている。今ではモバイルPCをデコったりすることもある)

しかもこのデコ電卓を見つけたのは、キラキラな靴やバッグやアクセサリーを売っているお店。
靴やアクセサリーも日本の比ではない程キラキラしている。
ここはステージ衣装やアクセサリーを売る店か、と思うくらいだ。
小田蘭はベリーダンスを習っているけれど、ベイルートの普通のお店で売っているアクセサリーでもステージでつけるに十分対応できると思う。
H&Mで扱っているピアスでさえ、中東仕様じゃないかと思うような大振りでオリエンタルなものが揃っていた。

ムスリム(イスラム教徒)が多い中近東では、女性は自分の肌や髪を隠す服装をする。
長袖・長ズボンやロングスカートで手首や足首まで隠し、夏でもロングコート状のアバヤという服を羽織り、首すじや額までピッタリとスカーフで覆っている。
更にすごくなると人の体で見えているのは目だけ、もっといくと目さえも黒い薄布ベールで覆っている人もいる。
そんな状態の女性たちなのに、こんなキラキラ装飾やハデハデ衣装はどこで使われているのだろうか。

町中のショー・ウィンドウだけでなく、スークと呼ばれる市場にもこれでもかというキラキラや色の洪水の布屋がある。
いったいこれらの布の出番はどこにあるんだろうか。
それこそこの布でベリーダンスの衣装が作れそうなバデさ加減だ。
演歌歌手やアイドルのステージ衣装にもいいかもしんない。