■カサ・パルティクラル















キューバには所謂「安宿」のような宿がない。
ドミトリーで1ベッド数百円とか、シングルやツインでも共同バストイレで1人千円しないとか、そんな宿泊施設がないのだ。
あるのはホテルか、個人宅の部屋を間借りする民宿タイプ。

個人宅に泊る宿泊施設はCasa Particular(カサ・パルティクラル)と言い、通称「カサ」と呼ばれている。
営業には政府の認可が必要なので設備や宿泊費にあまりバラつきはなく、青い錨(いかり)のマークが目印だ。
1泊1室20cuc~30cucのツインが一般的で、1部屋料金の為2人で泊れば1人あたりの宿泊費は半分になる。
正規のカサは前述の通り青い錨のマークが付いている。
しかし中には政府の認可を受けずにやっているモグリのカサもあるようで、安いからと言ってそういう所に泊ると何かあった時が面倒だからできればきちんとマークのある所に泊った方が安心だ。

2010年の後半にキューバで自営業の認可が拡大されて以降カサの数は増えているので、ハバナやトリニダーといった主要都市では大抵どこかに泊れると思う。
政府認可なので金額や設備はどこも似たり寄ったりだけど立地や外観や内装に加えて宿主の人柄などで人気のカサと言うのはやっ ぱり出てくるもので、私たちが初日に泊った宿はトリニダーに行って戻ってきた時にまた泊りたいと言ったら既に満室だった。
それでもここは口コミの世界。
『ウチは満室だけど知り合いのカサを紹介するから待ってて』
と言われて待っていると、近くのカサから歩いて迎えに来てくれたりするから大丈夫。

個人宅では規制があってネット回線を引くことが難しく、ネットが使えるカサは殆どないというのにカサの予約を受けるサイトは存在する。
私たちのハバナでの宿泊も、ゆうこさんがネット経由で予約をしてくれた。
更に帰国してから調べていたらカサの予約専門サイトもあった。
こういうの、どうやってカサの人と連携してるんだろう。

http://www.casaparticularcuba.org/
http://www.cubacasas.net/


私たちの旅程はハバナ→トリニダー→ハバナ→バラデロで、ハバナではカサに泊り、トリニダーとバラデロはビーチ沿いのホテルに宿泊した。
ハバナに到着して最初の宿泊は旧市街の中心にも歩いていけるセントロ・ハバナにあるミリアムさんの家。


■Casa Miriam Hostal Colonia
Lealtad 206, Entre Virtudes y Concordia,
Centro Habana, La Havana, Cuba

ここはキューバで合流したゆうこさんがボリビアのラパスからネットで予約してくれた。
予約サイトにはインターネットが使えるという記載があったのでここにしたということだったのだけど実際には当然のようにネッ ト環境はなく、1日先にキューバ入りしていたゆうこさんとは連絡がつかずに飛行機が遅れていた私は結構焦っていたのでありました。
ハバナのホテルで合流したら翌日にはトリニダーへ行くことになっていたので、ここで会えなかったらすれ違い(汗)。
まぁ、無事に到着出来たので一安心でしたけどね。
 乗り継ぎの話はこちらから

夜遅くに到着した私を迎えてくれたのは、家の前で仲間と談笑している気のいいおばちゃんでした。
23時を回っているのにハバナの町中は女性同士で歩いている人もいた。
タクシーでカサを探している時も通りを歩いている人はいたし、建物の前に座って話をしている人、店の前で立ち話をしている人、と人通りが結構あるのに少し驚いたものです。
夜中にこれだけ人が外に出ているってことはハバナって治安いいんだね。

通りの名前を確認しながらカサのあるあたりまで来ると、家の扉の前に椅子を出して話をしているおばちゃんたちが2~3人いて、車の窓からきょろきょろとカサを探していた私たちを見つけて声をかけてくれたのです。

後から聞くと、タクシーが違う所に連れて行ってしまうといけないからと私の到着を待っていてくれたらしい。
うん、そうね。タクシーが客引きして勝手に知り合いのホテルに連れていっちゃうことって結構あるもんね。
夜遅くなのにその心遣いが有難い!
さっそく部屋に案内してくれ、先に泊っているゆうこさん達の部屋を教えてくれ、
『寝てるかもしれないけどノックしてみるかい?』と気を使ってくれて、無事に合流を果たしたのでありました。

個人宅の部屋を開放しているカサでは、1つのカサで泊れる部屋は大抵1つか2つになる。
それも基本がツインでトリプルには対応していないことが多いので3人いる時は2部屋借りることになり、合流して3人になった私たちもカサでは2部屋借りて合計金額を3人で割ることにした。

ミリアムさんの家は中庭を囲む建物の1Fで、私たちは中庭に面して隣り合った2部屋を使わせてもらっていた。
中庭から見上げると2階の部屋にはシャンデリアが見え、そこもどうやらカサとして貸し出しているようだった。
2階は別な人の家らしいけれど、共同でカサをやっていて宿として泊れる部屋数はいくつかあるという話だ。
いつも複数の人の気配があり、中庭で洗濯をしていたり入口から正面に見えるキッチンで誰かが座っていたり、気のいい女性たちが運営する宿は人気のようで、トリニダーへ行って戻ってきた時もここに泊りたいと聞いてみると既に予約で埋まっているという。
『うちは予約が入っていて泊れないけど、近くにある知り合いの家を紹介できるから戻ってきたらまたここにおいで』
そうして紹介してくれたのが、ミリアムさんの家から2~3分の所にあるレオさんの家だった。


■Casa Colonoal 1915 Tayra&Leo
Escobar # 272, 1er piso, esq. a Neptune,
Centro Habana, La Havana, Cuba

トリニダーから戻ってきてミリアムさんの家に行き、中庭で待っていると大柄でおっとりとした雰囲気を持つ男性がやってきて自分の家に案内してくれた。
こちらは小さな通りの交差点に位置する建物の2階にあり、リビングと同じフロアの端にある2部屋が泊れるようになっている。
玄関を開けるとすぐ左手にリビングが見えるので、ミリアムさんの家よりももっとホームステイ感覚だ。

普段は英語を話す奥さんが旅行者の対応をするらしいのだけれど、この時は息子を連れてトリニダーに里帰りしているということでスペイン語しか話せないレオさん1人が家にいた。
幸いこちらもゆうこさんが2年の南米滞在ですっかりスペイン語を話せるようになっているので、お互い何の問題もない。
『あんた、私がいないのに人を泊めて言葉は大丈夫なの?』
『うん、スペイン語を話す人達だから大丈夫だよ』

というやりとりがあったのだとか。
なんだかほほえましい話だ。
やっぱり言葉が分かるというのは当たり前だけど重要だよね。
ちなみにゆうこうさん、トリニダーのホテルに併設のお土産ショップの従業員から
『あなたのスペイン語は早口ね』と言われるくらい話せるようになっていた。

カサでは朝食や夕食のサービスをやっていることも多く、ミリアムさん家ではお願いしなかったけれどレオさんの家では夕食をお願いした。
ちなみにレオさんの家では、朝食が4cuc(約400円)、夕食はコース仕立てでワインやデザート付で12cuc(約1200円)。
cuc払いのレストランで食べると日本と同じくらいの金額はかかるので、それなら美味しいと噂のご家庭ごはんを一度くらいは食べてみようとレオさんの家で夕食を頼んだのだ。

『ぼくはシェフだからね、食事はぼくが作るよ』
というレオさん。
本職が本当にシェフなのかは分からないけれど、確かにレオさんのごはんは美味しかった。
メインの食材を鶏・豚・牛・エビ・ロブスターの中から選んで(ロブスターは追加料金)、ライスも付いて、スープ、サラダ、デザート、ワイン1本、メインの付け合わせには揚げバナナと別皿でタマーレスまで。これら全てで12cucはキューバのレストランに比べて絶対にお値打ち!
しかも美味しい。

トリニダーのホテルでは食事で散々文句を言いあって、3人で「まさかの民宿ごはんが一番美味しいってオチ?」と笑っていたけど本当にその通りだとは。
キューバでカサに泊る方は一度はそこで食事をすることをオススメします。


last update / 2013.06.11