『キレイ』(追記あり)

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シアターコクーン・オンレパートリー2014+大人計画『キレイ~神様と待ち合わせした女~』

初日はコクーンシートで上から見下ろす感じだったし音も多分S席よりは微妙だったんだろうと思うけれど。
初演の時に買ったサントラで聴きなれたオープニングの曲でトリハダぶわってなって、エンディングではもう涙うるうるでしたよ。
あぁ、やっぱりこの作品は曲とそれぞれのシーンの相性がすごくいいなぁ。

初演は2000年。
小劇場演劇はちょこちょこ観に行っていたし、大人計画の存在は知っていたけど観に行ったことはなかったのですが、90年代後半にライヴに行って以来ハマっていたメトロファルスのヴォーカル伊藤ヨタロウさんが音楽を担当し、楽隊としてメトロファルスの面々も参加・出演するというのでチケットを取って観に行ったのですねぇ。
発売日から日にち経ってても希望日でチケット取れた(しかも割と良席)なのが今思うと懐かしい。
2005年の再演を経て、初演から14年。
大人計画の皆さんもヨタロウさんも実績を積み重ねてますます人気者になられました。

今回は初演から出ている人でも配役が変わったりしていて、意外な人が意外な役を!!
初演からずっと変わらないのは5人?
カミさまヨタロウさんもその一人ですね。
カミ2も変わらず良々さんというのもにんまり。

今回のケガレと少年ハリコナも可愛いなぁ。
この2人は特に橋の上で踊っているシーンが好き。

んでも、ミサがミソギという名前に変わったのが個人的には直接的すぎな気もしたりして。
私は初演を生で観劇→再演をDVDで鑑賞→再々演、という流れだったのだけど。
衣装とか演出は初演→再演→再々演、という流れて受け継がれてきているのね。
白衣装の女性コロスダンサーズも再演から引き継がれていたけど、これは好きだわー。
いい意味で今までの『キレイ』の流れを踏まえて、始めての人にとっても分かりやすくしているようで。
初演の混沌具合に結構衝撃を受けた自分としては思うトコロもあるけれど。
でもまぁ、初演からそうだけど『キレイ』は主演がメジャーな方たちだから、普段こういうお芝居を観ないような人達が沢山観に来るだろうし、今回のキャプションにもある通り普遍的な作品になっていくには分かりやすい要素もないとなのかな。

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二度ある事は三度ある。 
三度がまかり通れば、もう、ずーっとある。 
それが、キレイという作品だと思う。
松尾スズキ 
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あと、夏にドハデなラストフラワーズを観たもんだから、今回の『キレイ』も今までと違ってプロジェクションマッピングでガンガン派手になってたらどうしよう...とかも思ったりしたんですが(笑)。
それはなくてちょっと安心。

丸ごと入れ替わってなくなったヘビーメンスシスターズのシーン(歌含め)は、今回のシーンを見ていた時はこの方が確かに物語的に合ってると思ったんだけど、最後のケガレ&ミソギのシーンで「メンスのように生まれ損なおう」という台詞を聞いて、「あ、これヘビーメンスシスターズの歌があった方が繋がる。てか、繋がってたんじゃないの?」と思ってしまったワタクシでした。
でももしかしたらその台詞も初演とごっちゃになっているかもしれないから、次の観劇日に戯曲買って確認してみよ。
しかし今まで戯曲も買ってないのに変なトコよく覚えてんなぁ、わたし。

そんなこんなでこの日はパンフレットだけ買って、終演後に一応覗いてみようと思って足を運んだ物販のヨタロウさんコーナーで思わぬものを見つけて目がテン。
CDやDVDは今販売されているものは一通り持っているから大丈夫と思っていたんだけど!
来年のスケジュールフライヤーって!!
twitterやメトロのホームページでもまだ情報出てないよね?
キレイ大阪公演が終わってすぐ1月末に東流会?!
続いて2月に入ったらオトコンテツアーが東京を皮切りに大阪・京都・名古屋であって、2月後半から3月頭にかけて主演舞台って...。
ヨタロウさんノンストップで突っ走るなぁ。
いやしかし、物販に寄らなかったら入手できずに帰る所だったよ~。
ヨタロウさん、もっと自分のことも宣伝してください。
あんまり人気者になりすぎても嫌だけど、ライヴや出演情報は教えて欲しいのよぅ。
できるだけ行きたいから自分の予定とか合わせたいもんね。

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以下、思い出したように追記していきます。

◆戯曲を買って答え合わせ。
やっぱり最後の台詞はそのまま残ってるなー。
「メンスのように生まれ損なおう」ってヤツ。
ヘビーメンスシスターズの歌と最後の方のこの台詞って連動してると思うんだけど。初演(再演)を観ている人の同じような感想ツイートも見かけたし、私含めそういう人達って初演再演時の歌のインパクトもあったから気になるだけで、今回が初キレイの人は気にならないのかしらん?

◆楽曲とそれぞれのシーンの相性
オープニングの曲(ケガレのテーマ)でトリハダぶわってなって、エンディング(キレイ)で涙うるうるなのはもう鉄板だけど。
2部の始まりの深い青の照明と、カミとコロスとコロス達が持つ布のそれぞれの白さ。それが歌(夢を見てたのね)のハーモニーと相俟ってすごくゾクゾクしちゃう。
このシーン大好き!

◆オーケストラ
初演の楽隊はメトロファルス。再演ではメトロ&メトローマンス+α。で、舞台上で演奏したりもしていたのだけど、今回は舞台の前にオーケストラピットがあって11人体制での生演奏とな?!
正直なトコロ、舞台上で一緒に演奏している雑多な雰囲気が好きだったからな~、と思ったりしたもんですが。
でもでも!
バイオリンの音色が複数で奏でられていたりして、それぞれの楽曲が更に深まって演者と奏者の相乗効果的なものもあって、それがエンディングに向かって高まっていくもんだから一層うるうるしちゃうのでした。
うわぁ、これオーケストラ・ヴァージョンのサントラも出して欲しいわ。
でもやっぱり、所々で舞台上に楽隊欲しかったと思う場面はあるのでした。あとね、もっとギターのぎゅいんとうねる音が聴きたいと思う曲とかもあったりして。
オーケストラが合うシーン(歌)と、バンドが合うシーン(歌)ってやっぱりあるよね。オケを構えつつ、随所でバンドが楽隊として舞台上で参加...とか贅沢すぎるけどやって欲しかった。
そういえば、意図的なのか意図していないけどそうなっちゃうのか、花やらヘルメットやらが舞台上からオケピに落ちていたのがちょっと気になったりもいたしました。
花は軽いからいいけど、ヘルメットは奏者や楽器の上に落ちたら大変なんじゃ...。
私が見た時にヘルメットが落ちてたのはドラムやギターの人がいる側だったので、特にそう思ったりもしてね。

◆サントラに入っていない曲
再演でも新曲あったし、今回の再々演でも新曲あるし、初演のサントラに入っていない曲の音源も欲しいっ!
ヨタロウさん、セルフカバーでCD化してくれないかなー。「早ワザで」とか超好きなんだけど。
舞台音楽のCD化って、『キレイ』に限らずやってほしいと思うのです。伊藤ヨタロウ舞台音楽集とかね、やったらCD何枚組になるんだろ。

◆「ダイズ丸の歌(ダイズ兵のテーマ)」
初演→再演→再々演と毎回変わるこの曲。
その時その時のダイズ丸に合っていて(ダイズ丸の役者さんは毎回変わっている)、しかもどの「ダイズ丸の歌(初演サントラでは「ダイズ兵のテーマ)」も曲調が全く違うのが素晴らしい。
個人的には初演の古田(新太)ダイズ丸の印象が強烈。今回の阿部(サダヲ)ダイズ丸はなんだか切なさが伝わってきてダイズ丸の印象がちょっと変わった。

◆カミ
なんと言ってもこの存在感!
役柄的なこともあって気付くとちょくちょく舞台セットの上の方にいて、全身白衣装で白塗りで目を引くけどそこまで派手に活躍する役ではなく、でもカミがそこにいるだけで舞台が締まる。そして、全身真っ白いのに胡散臭い感じがどうにも印象に残りまくります。
今回のパンフレットに載っている写真や、劇場で配られていたヨタロウさん(カミ役)の今後のスケジュールが書かれているフライヤーに使われている写真を見ると、初演からどんどん眼差しや雰囲気が静かに優しくなっているように思います。
というか、そう思ったのですが、今回改めて14年振りに生の舞台上で動いて話しているのを観ると、やっぱりあの胡散臭さとかアヤシサは一筋縄ではいかない『キレイ』のカミなんだよねぇ。
そうかと思えば上手でツケ打ってる姿とか、橋の上でマジシャンにネコみたいに首根っこつかまれて引っぱりだされてくる姿とか、「キグリ軍歌」で行進している姿とか、「あんちゃんはメクラになった代わりにカミサマがご褒美をくれたんだ」とハリコナAが言う所で慌てて違う違うっと両手を振っている所とか、初演・再演時にはなかったような動きがなんだか妙に可愛いくて、そういうアヤシイ部分との対比は今回からだよね?
カミも深化を続けているのか。
そして、なんと言ってもあの最後にカミが奈落から出てきて言う台詞がもう。台詞と言うかその台詞の途中で変化していく声音!
そこにカミの禍々しさが詰まっていて毎回ゾクリとするの。
あとはオフショットとしてtwitterに上がっていた自撮りやキャストと一緒に写っている写真がね。楽屋写真や小ネタをよくアップしてくれていたのもカミのサービスなのかしらん。稽古中も公演中もカミのそういう情報がとても楽しみでした。
更に、公演が進むにつれてカミの目元や口元メイクがどんどん歌舞伎っぽくなっていたのもおもしろかった。
白いネクタイが目の柄だったのも公演終盤に上がっていた写真で気づいてほほぅ、とかね。
カミさまは本当に私たちの楽しみを操っていらした(笑)。

◆カネコキネコ
初演・再演と演じていた片桐はいりさんが出ないというので誰がこの役をやるんだろうと思っていて、配役を知った時は結構な驚きだったんですよ。
皆川さん?! かあちゃんを男がやるのか! しかも皆川さん?! とね(笑)。
いやでも、はいりさんのキネコとは「それはそれ!これはこれ!」でもう全く別物としていい。
このかあちゃんインパクトあっていい!!

◆カスミお嬢さま
初演・再演と同じ人が演じていて今回変わった役といえばカスミお嬢さまもそうなんだけど、カスミお嬢様がカスミお嬢様のままのキャラでよかった。あの素っ頓狂な所が失われていなくて、田畑さんすごいわぁ。

◆ケガレ
その無邪気さが一層「ケガレ」を引き立たせる。
初演の奥菜(恵)ケガレも無邪気さという点ではよかったけど、今回の多部(未華子)ケガレはより無垢な感じがして、無垢で、だからこそ強くて、歴代ケガレの中では一番ハマってるんじゃないかと思う。
演劇ジャーナリストの方のツイートで「『キレイ』は彼女を待っていたんじゃないかと思う。」というのがあったけど、ホントそれ(→https://twitter.com/k_tokunaga/status/545649038490476544)。

◆ハリコナ
ハリコナA(少年ハリコナ)が阿部サダヲさんから小池徹平くんに変わり、ハリコナB(青年ハリコナ)は毎回変わっていて 篠井英介 → 岡本健一 → 尾美としのり という変遷。
少年ハリコナもカネコキネコ・カスミお嬢様と同じく初演・再演の役者さんの印象が強く残っていたけれど、小池(徹平)ハリコナもバカっぽくていい感じ。
青年ハリコナは、今回が一番少年ハリコナのバカっぽさを引き継いだハリコナだな~という印象。

◆時事ネタ
過去ネタ時事ネタその他諸々、クスリと笑っちゃうものから「おいおい」と思うものまで、特に時事ネタはアドリブでの取りいれがすごくて、食品遺物混入問題は元からキレイで扱われているけど、まさか公演中にこんなにいろんな混入事件が起こるとはねぇ(ペヤングのゴキブリ混入から始まり、マクドナルドでの人の歯やYouTubeで公開された爪楊枝事件は公演後半に事件発覚→犯人逮捕までネタになっていたとか)。
このネタの取り入れ方の素早さは生モノの舞台ならではだわ。
良々さんと皆川さんの杜撰ネタはどうも毎回違ったらしく、43公演全て違うネタ持ってくる良々さんもすごいわ。
松尾さんのオクイさんいじりも公演後半にどんどんヒートアップしていっていたようですし(笑)。
ここら辺が大人計画らしいところなのかしらんねぇ。

◆ミュージカル?
初演を見た時にも思ったことだけど、これってミュージカル?っていうのかな。
確かに歌って踊っているけれど、所謂一般的な「ミュージカル」という括りではなくて、「音楽劇」という言葉の方がしっくりきた。
「規格外ミュージカル」ってこういうこと?(笑)
私の思う「ミュージカル」って台詞が歌になっている印象があって、あ、それは「オペラ」? いや、オペラはなんだかもっと荘厳な感じ...という気がするのはオペラの音楽が基本クラシックで歌唱法も違うからか?
とか頭の中がぐるぐる回っていたらこんなブログ記事を見つけました。
 オペラとミュージカルの違い1,2,3
『キレイ』は確かにミュージカル的だけど、基本的にはお芝居で展開が進んで要所要所に歌と踊りを盛り込む感じで「音楽劇」というのが自分的にはしっくりきた。
ストレートプレイでも時々ある歌や踊りが場面転換的にいくつか挿入される、というのではなく、それよりは歌や踊りが多くて登場人物の心情を歌や踊りで表現している、という感じで「音楽劇」。
うん、そうだ。

◆再再演
再演とか、再々演とか、何度目かの再演とか。
以前の舞台を観ていても「今回のが一番いいかも」と思える作品は幸せだな。
そりゃ、まっさらの状態で観た初演に比べたら以前の印象が残っていて、無意識のうちでも比べてしまってあれこれ思うことはいろいろとあるし、思い入れが強ければ強い程「あそこは前の方が好き」とか「あれ?ここは?」とかは当然あるし、細かい部分を言い出したらキリがない。
更に年数が経っていれば、その間に観る側の気持ちや環境の変化もあるし、出演者や演出する方だって変化していくさ。
それでも総括して「今回のが一番いい」と思えるのってやっぱりすごい。

◆東京公演も後半
S席で観たのは東京公演も後半になってからだった。
役者とオーケストラ生演奏との相乗効果も高まって随分こなれてきていてたけれど、私が観た時は一部の役者さんの歌声がかすれる所があったりとちょっと微妙な感じもしつつ...。
そろそろ疲れが出てきているのかしらん。テンションは高まっているみたいなのにもったいない。
長い公演は本当に大変よね。
ただでさえ上演時間が長い上に1日2公演なんてあった日には昼公演のカーテンコールまで終わってから夜公演の開演時間まで1時間半ないとか、役者も奏者もスタッフも休む間なしでもう...って感じなんだろうなぁ。

◆コクーンの音響
やっぱりコクーンって座る席によって音響が全然違う。
音楽はもちろん、マイクを通した役者さん達の声とかもそう。
コクーンでは今までいくつかの席種から舞台を観たことがあるし、同じ演目を席種違いで観たこともあるけれど、当たり前だけど観るならやっぱり正面センターブロックだよね。
見え方もそうだけど、他の劇場の2F席や3F席で観た時とはやっぱり音が違う。
コクーンって座席によってこんなに聴こえが違うのに時々音楽劇やってるってのがちょっと(いや、音楽劇をやるにはだいぶ)もったいないな。

◆コクーンの座席からの観え方
音の聴こえ方が違うのは「三人吉三」で中2F立ち見とS席と両方で観て実感していたのだけど。
その時に上から観た照明の綺麗さにやられて、今回の『キレイ』も上からと下からと両方から見たかった。
なにはともあれまず観たい! と思って初日に「コクーンシート」で上から。
お友達と2人で観に行く予定でS席を取っていた日もあったけれど、急にもう1人一緒に行くことになって追加の立ち見販売で購入して初『キレイ』の友人達にS席を譲り、私は「中2F立ち見」で観た2回目。
でもやっぱりこれはいい音で観たいよー...とダメモトで当日券を狙おうかと思っていた時にタイミングよく発見したコクーンからの日にち限定座席放出で取れた「S席」。
元々コクーンシートは見切れが多いと聞いてはいたけれど、本当にこれは...。座っている側の舞台端での演技が本当に見えなかった。中2F立ち見の方が全然見えるね。
コクーンシートとは逆側の立ち見で観た時に初めて「あ、この時こういうことやってたの?」と気付くという状態だったのですよ。
S席は当然のごとく音も良くて端まで見えるから1回はそういう席で観たかった。
そして、『キレイ』の舞台は両端にセットがあって正面には両端のセットから橋がかかり、それらを万遍なく使う演出だから1F席からだけでなく上からの観え方も堪能したいと思ったのよ。
で、コクーンシートを取ってみたんだけど...。いやー、コクーンシートはちょっとダメでした。上から観るなら、せめて中2Fか2Fの正面席だね。こういう座席配置の劇場で舞台の両端を多用する演出は苦しいよー。
それか、ここまで見切れるならコクーンシートはもうちょっとお安くしてもらってもいいかも...。でもそうすると立ち見の金額との差が微妙か。

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小田蘭
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このページは、小田蘭が2014年12月 5日 23:59に書いたブログ記事です。

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