人は、親しい人の言葉ほど信じやすく、自分の信じたいものを信じる。
信じたことがその人にとっての事実で、そのフィルターを通した人々に私はさぞかし滑稽だっただろう。
事実は1つ。
しかし真実は人の数だけあり、誰かの真実は別の誰かの真実と異なり、事実から離れていく。
尊厳は損なわれ、信頼は裏切られ、繋がりは断絶される。
迎えられ広がったと思っていた世界はまぼろし。
じわじわと締め出され、失望と絶望の荒野を漂う。
「最後まで騙し通してくれたのならそれはもう本当」だと言ったのはマタドール。
愛しい過去を抱いて地下室に沈む。